先日、製造をした麹を使用してのどぶろくの仕込みを始めました。
正式販売に向けて、試作を出来るのはあと1,2 回となりました。今回の試作で、おおかたの味の方向性を決定して行く大切な作業となります。
まずは掛米となるお米の精米を行います。一般的にはお米の表面を削り、中心の心白( しんぱく)に近い部分を使用することで、雑味の無いお酒となります。(玄米の状態を100%として)食用米が90%とすれば、普通酒では80%以上のものが多く、大吟醸ともなれば50%の精米歩合となります。
酒造会社では専用の精米機を使い、熱や割れを防ぐ為にゆっくりと1日、2日掛かりの精米を行います。我々ではそのような機械も所有していませんし、精米を委託するだけの生産量もありません。
どぶろくを綺麗な日本酒のように仕上げるのであれば必要な行程ではありますが、それではどぶろくらしさ(?)がなくなる。という意見もあります。
無理をして大きく見せずに、今出来る範囲でやっていこう。ということで、住民の方に、家庭用の精米機をお借りして、お米が割れずに胚芽が無くなるくらいまでの精米を行いました。
この精米したお米を洗い、水に浸漬し一日吸水をさせておきます。
次に水麹( みずこうじ )というものを仕込みます。
これは麹を仕込み水に入れて、撹拌させることで麹の酵素を抽出させ易くする行程です。
ここに乳酸というものを添加します。この乳酸というものを入れる事で液体を酸性に傾けて、投入した酵母以外の雑菌類や微生物の繁殖を防ぎ、酵母が培養出来る環境を作ってくれます。「うわぁ...!添加物なんて...」と思う方もおられるでしょうが、昨今の酒造りはこの乳酸を添加する速醸酛造りがほとんどです。
この乳酸を添加しない方法としては、日数を掛けて自然の中に存在している乳酸菌を取り込み、その乳酸菌が作り出した乳酸を利用する生酛造りというものがありますが、我々にそのような技術があるわけでもなく、安定したものを作る為には速醸酛造りの方が賢明だという判断です。
ここに酵母を入れます。今回、使用した酵母は「協会7号酵母」。
栓を捻るとプシュっという酵母の元気な音がします。
酵母を入れ良く撹拌をさせて、「がんばれよ〜」と声を掛けて一日置きます。
これがいわゆる酒母( しゅぼ )の仕込みとなります。
翌日はこの酒母に蒸し米( 掛米 )を投入していきます。
お米は芯まで火が通っている、かつ外側は固めに蒸し上げます。これを40℃以下に冷ましてから、酒母に入れて良く撹拌をさせます。
酵母が沈殿し易いので毎日かき回し、貯蔵庫にて温度を一定に保ちながら一次発酵が来るのを待ちます。